Crowned
欲望の印を持つ存在は、何を明かし、何を隠すのか。
《Crowned》は、王冠という共通の欲望の印とそれぞれ異なる身体の態度を通して、私たちがひとつの存在をどのように認識し判断するのかを探究する。
作品のすべての存在は、王冠という同じ印を持つ。王冠は権力や所有、優越感や欲望を直接的に連想させる象徴だが、それをかぶる存在の顔からは明確な感情を読み取りにくい。大きく開いた目と無表情な顔は王冠の強い意味と対照をなし、外から与えられた象徴と実際の内面の間に距離を生む。
SHHANはこの連作で、表情の変化よりも身体の姿勢と態度に注目した。静かに座る、身を低くして伏せる、うずくまる、身体を伸ばすといった形象は、同じ顔と王冠を共有しながら全く異なる印象を生む。顔が感情を説明しないため、観客は身体の向きや重さ、視線や動作からその状態を自然に推測する。
ここで王冠は、単に貪欲な存在を示す装置というより、観客のイメージの読み方に介入する印である。王冠を見た瞬間、私たちは権力や欲望、虚栄といった性質を与えるが、作品の存在はそれを肯定も否定もしない。何を望み、そもそも欲望しているのかさえ明確ではない。《Crowned》はこの隔たりを通じ、外見上のひとつの印が存在への判断をいかに容易に決めるかを示す。
黒く単純化された身体も重要である。細かな毛並みや表情を取り除き、目、シルエット、姿勢、王冠だけを残すことで、動物は具体的な個体であると同時に象徴的な形象となる。異なる種が同じ黒い身体と王冠を共有し、個別のアイデンティティよりも共通の欲望と態度を表す群像としてつながる。
《Crowned》の存在は、明確な名前や物語を持つ固定的なキャラクターというより、人間の欲望と態度を映すために作られた形象に近い。しかし同じ条件から出発した存在が、姿勢とシルエットだけで異なる性格を形づくることは、その後のSHHANの制作における重要な関心へとつながった。
王冠というひとつの象徴から始まった実験は、《SHHANart》において、さらに多様な姿勢、行動、性格を持つ存在を作る試みへと広がる。その意味で《Crowned》は、SHHANが動物の形象を単なるキャラクターではなく、人間の感情や欲望、個体の態度を観察するための存在として扱い始めた初期の作品のひとつである。
《Crowned》の50点は2021年にNFTコレクションとして制作・公開され、現在はOpenSeaで連作全体の記録を確認できる。
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